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アート
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山田純嗣

モネで注目するのは、初期から晩年にかけて徐々に量感のないもにモチーフが変化していっていることである。ルーアン大聖堂で見出した垂直方向の構成を、ポプラ並木の作品でよりシンプルにしていったこと。そして、睡蓮では、睡蓮が遠方(画面上方)に向かうに従って徐々に細くなり水平方向のストロークに変化していく構成と、水面に映り込む庭の木々の垂直方向の構成が組み合わされて、対象を写実的に写すということから、より平面としての画面構成の意識が高くなっているように感じる。特に国立西洋美術館の睡蓮は習作のような作品なので、モネがどういう意識で睡蓮に臨んでいたのかが伝わってくる。ただし、セザンヌに「素晴らしい目」と言われただけに、やはりものを見ることからは離れておらず、西美の睡蓮のような荒いタッチのものでも立体で再現してみると、一筆描きの部分でもちょうどいい大きさの睡蓮になることは驚きである。水面の鏡の効果もうまく使い、現実の世界から水平垂直の構成を見つけることをしているのが興味深く、後にモンドリアンが風景から抽象化していくことに先行しているとも思える。

展覧会歴

  • 2015年 「山田純嗣展 絵画をめぐって」Bunkamura Gallery(東京)
    2015年 「next 信州新世代のアーティス ト2014」伊那文化会館 美術展示ホール(伊那市)
    2015年 「next 信州新世代のアーティスト展 in 銀座」銀座NAGANO(東京)
    2014年 「山田純嗣展 絵画をめぐって 反復・反転・反映」不忍画廊(東京)
    2014年 「山田純嗣展 絵画をめぐって 理想郷と三遠法」一宮市三岸節子記念美術館(愛知)

(14-1) WATER LILIES

 

2013-4年

189×194cm

ポリコートパネルに印画紙、樹脂、パールペイント、ラメ、インタリオ・オン・フォト

ed.1

作家蔵