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「版画芸術」154号巻頭特集「現代版画ジャパン U‐40」コメント

 作品制作を通して私は絵画とは何かということについて考えています。ここで言う絵画というのは、物質的なもののことではなく、もっとつかみどころのない、言うならば不在の理念とでも言うようなものについてです。例えば、美しい風景に出会い、実景を目の前にして「絵のようだ」と感動するときの、その「絵」とはなんなのかといったことや、絵を見ているときに、それをきっかけに、そこに描かれていることとは別のことに想いが及ぶ感覚とは何なのかといったこと。そんなことを考えていた結果、立体、写真、版画など、ペインティングではない手段をとるようになったのですが、そういったことをすることで私の視線は常に絵画の方を向いているのだと思っています。