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「チャリティ展に寄せて」

 ARTは何のためにも、誰のためにもつくられていない、目的を持たないものだ。では、なぜ人はそんな一見何の役に立ちそうもないARTを愛することができるのか。それは、最初の文の「ART」を「人」に置き換えてみると、何となくしっくりくる。つまり、ARTは人と同じように、他のものに置き換えたり、数値化することのできない、ただそれでしかない存在、目的を持たない純粋なものなのだ。また、無駄なものであるからこそ、ガチガチになった心に遊びを与えてくれるのだ。だから人はそれに惹かれて、それを美しいと思ったり、愛するのだろう。「美しさ」や「愛」はその対象にあるのではなく、常に受け取る側の心の中にあるのだ。
 美しいと思える人の心は美しい。大切なものは目に見えないから、なくさないように常に気をつけていないといけない。——と、僕は思うのです。