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アート
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山田純嗣

 名古屋の現代美術を紹介する展覧会、1994年に第1回が行われ、今回が第4回目。
 出品者は、青田真也、大崎のぶゆき、川見俊、坂本夏子、佐藤貢、設楽陸、田島秀彦、判治佐江子、文谷有佳里、山田純嗣。
 山田は、展示室の最初のスペースを与えられ、エントランスと通路、展示室の3箇所を浄土への道のりに見立てたインスタレーションにした。

 エントランスホールと展示室を結ぶ通路は、現世と浄土、此岸と彼岸を結ぶ道とした。その通路の脇のくぼみに、白く目の光る黒い動物のオブジェを設置した。これは浄土教の「二河白道」という話の中にある、浄土を目指す旅人の背後から迫る獣たちを表している。また、それに合わせて展示室入口両サイドには水の河と炎の河の作品を展示した。「二河白道」とは、以下のような話である。

 <西を目指す旅人は河に突き当たります。南北へ果てしなく延びるその河は北は荒れ狂う水、南は燃え盛る炎。その2つがちょうど目の前でぶつかり合っていて、その間に幅わずか10cmほどの白い道があります。後ろからは盗賊や飢えた獣が迫り、絶体絶命の状況。すると、後ろから「進みなさい」と釈迦の声。向こう岸からは「一心に私を信じて来なさい」と阿弥陀の声がします。その言葉を信じて旅人は白道を進み、無事極楽浄土にたどり着きました。>

「ポジション2012 名古屋発現代美術 この場所から見る世界」名古屋市美術館 展示風景 (12)

 

2012年6月2日−7月16日

主催:名古屋市美術館、日本経済新聞社、テレビ愛知